3年生以下で構成されたチームで戦う、多賀グリーンカップ2026が3月28、29の両日、滋賀県多賀町の多賀町民グラウンドと滝の宮スポーツ公園を会場に行われた。全日本学童大会マクドナルド・トーナメント優勝2度の名門・多賀少年野球クラブの呼び掛けにより始まった大会で、今回が22回目。全国各地から集まった32チームが真剣ゲームを楽しみ、交流を深めた。
(写真&文=鈴木秀樹)
コスプレ!?も楽しむ式
午前8時15分過ぎ、多賀町民グラウンドに集まった、賑やかな3年生以下チームの選手たち。会場に音楽が鳴り響くと、どのチームもしっかりと整列し、入場行進が始まった。
ユニフォームの上に、思い思いのコスチュームを羽織ったチームが多数。チームの地元の土地柄や風土を想起させるものや、チームカラーを前面に押し出したものなど、デザインはさまざま。グラウンド脇から響く、父母らからの声援に、手を振ったり笑顔で応えながら、選手らはダイヤモンドをぐるりと回り、再び整列した。



前年優勝の大阪オールスターズJr(大阪).、同準優勝の多賀少年野球クラブ(滋賀)などから優勝旗やカップなどが返還され、大会会長の久保久良・多賀町長が「来年はみなさんに負けないよう、ボクも仮装で来ます。今日は絶好の野球日和。はつらつとしたプレーを期待します。頑張ってください」と歓迎のあいさつ。協賛社のフィールドフォース・吉村尚記社長は「大会を全力で盛り上げていきます。今日はたくさんの仲間といっぱい話して、友達をたくさんつくって帰って下さい」と選手らに呼び掛けた。
続いて、大阪オールスターズJr.の𠮷本碧主将が「ボクたち選手一同は多賀グリーンカップに出場できることを、お世話になっている監督やコーチ、いつも応援してくれている家族に感謝し、仲間を信じ、最後の1球まであきらめず全力プレーすることを誓います」と選手宣誓を行い、大きな拍手を浴びた。




さらにここで、開会式を盛り上げたチームを表彰。13クラブ(岐阜)、大阪ゴールデンファイヤー(大阪)、岡輝レンジャーズJr.軟式野球スポーツ少年団(岡山)、城西スポーツ少年団(滋賀)が「入場行進楽しんだで賞」、揥水野球少年団(三重)には「会場一番乗り賞」が、多賀少年野球クラブの辻正人監督から贈られた。


ここまでで開会式は終了。しかしこれで一旦、解散…とはならない、続いて、スポンサーからの協賛商品を懸けたじゃんけん大会が行われた。多賀・辻監督が司会となり、全選手がフィールドフォース製品などを目指して、大騒ぎのじゃんけん大会。勝ち上がった選手らは笑顔で賞品を受け取ると、気持ちを入れ替え、それぞれの試合会場へと向かっていった。
単独チーム中心の戦いに

全国的には一般的ではない、3年生以下のチームの大会。まして県をまたぎ、全国レベルの規模となると、この大会をおいてほかにない。大会を始めた当初の目的は、大会出場の機会が少ない3年生以下のチームに、試合を通して野球の楽しさを知ってもらうと同時に、ここを目標にすることで、モチベーション高く練習を続けてくれれば…というものだった。
それでも、回を重ねるにつれ、「大会を始めた当時とは比べものにならないくらいに、レベルが上がりましたね」と辻監督が話す。「昨年までは、人数がそろわないチーム同士での合同チームの参加も認めていましたが、今年からはそれもやめ、単独チーム中心の戦いとさせてもらいました」
いまや全国大会レベルといっていい、多賀グリーンカップ。とはいえ、「怒声・罵声禁止」で「子どもたちの成長を見守る」大会姿勢に変わりはない。応援も鳴り物すべてOKで、保護者も一体となって戦う試合風景は、野球の原点ともいえるものだ。
波乱の展開、接戦も多々

主な特別ルールとしては、試合は5回戦で行われ、塁間は21m、投球距離は14m。リエントリー制度を採用。盗塁などに関しては特別ルールはない。初日の1、2回戦は「1イニング3得点で攻守交替」が適用される(2日目、準々決勝以降は5得点で交代)。
大会は、前年の優勝、準優勝チームがいずれも2回戦で敗れ、初日で姿を消す波乱の展開。そんな中でも、この大会のためにセレクションを行い、選抜チームで臨んでいる北海道代表は北海道チャンピオンシップAceと北海道チャンピオンシップBestの2チームがともに勝ち上がった。


また、この大会に向けた予選として「ルーキーリーグ」と称する3年生の大会を行い、出場チームを決定している岡山代表も、和気ベースボールクラブは2回戦で北海道Aceに敗れたものの、岡輝レンジャーズJr軟式野球スポーツ少年団は2回戦で大阪オールスターズJr.を下してベスト8入りを果たした。
そんな中で目を引いたのは、そろってベスト8入りした初出場の13クラブ、2度目の出場の坂本野球少年団の岐阜県勢。坂本野球少年団の三浦雄己監督は「初出場の去年は初戦負けでした」と振り返り、「出場チームのレベルの高さももちろんですが、大会の持つ一体感が素晴らしい。絶対にまた来て、次は勝つんだという思いをチームみんなで共有して、1年間、活動してきたんです」。

一方の13クラブも、準々決勝で敗れはしたものの、試合後にはコーチ陣が選手らに向かい「こんな経験はめったにできない。今のこの気持ちを、これからに生かしていこうよ」と呼びかける姿が印象的だった。大会の開催趣旨をストレートに体現しているかのような、岐阜代表2チームだった。
決勝で道選抜が対峙


決勝に勝ち上がったのは、北海道選抜の2チーム。道内の選手120人がエントリーしたセレクションから選ばれた、18人ずつのチームだ。ともに冬の間は室内での練習だけで調整し、屋外で練習できたのは大会直前の2週間だけだったというが、そんなマイナスを感じさせない実力の高さ。
中でも北海道Bestはどの試合も、長打力のある打線が爆発。両翼約46mの会場では、1本もサク越え本塁打が出ない試合も珍しくない中、大会MVPに選ばれた白石礼偉は大会通算5本のサク越え弾と、飛び抜けた成績を残した。

決勝も序盤からBestが長打連発でAceを圧倒。4回までを終えて9対3と、勝利は確定しながら(最終5回にAceが反撃しても5得点で終了のため)、大会規定により最終回まで試合を行い、9対4での決着となった。
「外での練習が少なく、不安はありましたが、チームがよくまとまったと思います」と北海道Bestの向井拡充監督。Aceの齋藤真智監督も「よくここまで戦ってくれました」と選手たちの奮闘をたたえていた。普段は同チームで戦うチームメートながら、BestとAceに分かれて戦った選手もいたという北海道代表2チーム。試合後は白いユニフォームのBest、赤いユニフォームのAceの選手たちが入り乱れ、喜び合う姿も見られた。
3位決定戦では、大阪ゴールデンファイヤー(大阪)が度会BEAST(三重)に勝利。ともにナインの健闘をたたえるとともに、次回大会での捲土重来を期して、会場を後にした。




【2日目試合結果】
◇準々決勝
大阪ゴールデンファイヤー(大阪)〇7対2●13クラブ(岐阜)
北海道チャンピオンシップAce(北海道〇4対3●坂本野球少年団(岐阜)
北海道チャンピオンシップBest(北海道)〇9対1●岡輝レンジャーズJr.(岡山)
度会BEAST(三重)〇4対3●交野レインボーズ(大阪)
◇準決勝
北海道チャンピオンシップAce〇7対0●大阪ゴールデンファイヤー
北海道チャンピオンシップBest〇7対1●度会BEAST
◇3位決定戦
大阪ゴールデンファイヤー〇6対5●度会BEAST
◇決勝
北海道チャンピオンシップBest〇9対4●北海道チャンピオンシップAce